埼玉森林インストラクター会Forest Instructor Saitama


森林インストラクターの森 活動報告

期 日:2018年3月24日(土)
「きのこ駒打ち」作業報告
参加者:7名
天 候:晴れ(12℃)
報告者:服部保典

前日夕方に雨が降っていましたが、当日は快晴の下で駒打ちとなりました。3月11日に切り出した榾木(ほだぎ)に、シイタケ、なめこ、ヒラタケの駒を打ち込むため早速、3班に分かれ、それぞれ作業を開始します。 榾木は、ヒノキ、ホオノキ、キリ、カツラ、コナラ、サクラ、トチノキ、タブノキの8種類。コナラやサクラが榾木としては一般的ですが、バラエティに富んだ榾木です。保管する場所は渓流のほとりにあります。湿気を含んだ冷気が流れ込んでくるヒノキ林の下で、キノコにとっては一等地とのこと。昨年植えた榾木からもちょこちょことシイタケが顔を出していました。 さて、榾木に駒を打ち込みますが、そのためには穴を開けなくてはなりません。穴をあけるための道具が、トンカチにポンチが付いている駒打ちハンマー。こいつで榾木を叩くとちょうど駒が入る穴が開きます。初めて使う道具だったので、本当にこんなもので木に穴が開くのか? と半信半疑になりますが使ってみると案外簡単に穴が開きます。これは便利。 急な榾木づくりのお助け商品として、一家に一台常備するべき道具ではないでしょうか。とはいえ、鈍器なうえに刃物がついているので扱いは慎重にしましょう。榾木にあけた穴にキノコの菌を植え付けた駒を差し込み、木づちで叩きこみます。 駒は奥まで打ち込まず、平らになる程度にし、内部に空間を設けるのがコツとのこと。電動ドリルも活用して、8種類の榾木計60本に駒を打ち込みました。 榾木になった木の一部を紹介すると、タブノキはクスノキの仲間の樹木で、クスノキは樟脳の原料になります。クスノキほどではないですが、タブノキもこの性質があります。防虫効果があるということは、キノコも育たないと言われています が、「果たして本当か?」というわけで、3種類のキノコの榾木を一本ずつ作りました。キリは日本で育つ木の中では一番軽い木です。ほかの木の倍くらい太さがある丸太でも軽々運べます。キリの丸太をよく見ると、中心に穴が開いています。 キリの丸太の中心は空洞になるので、家具職人はこの穴を避けながら板を切り出さなくてはいけないそう。ウツギも枝が空洞になりますが、なんでなんでしょうね。不思議です。保管場所も、このヒノキ林の下や、半分くらい埋めてみるなどして比較してみます。果たしてどれが一番多くとれるでしょうか。 10時ごろから始まった作業も12時過ぎに終わって、お昼を挟んで榾木を保管して作業完了です。 (おまけ) 「山笑う」という季語が俳句にありますが、ちょうど花や若葉が芽吹きだすこの頃は山の中が明るく、本当に笑っているようです。作業をしていた森も薄黄緑のアブラチャンの花が咲いていました。

キノコの駒打ち実績表(H30年3月24日)

ほだ木の種類 ナメコ シイタケ ヒラタケ
ヒノキ 14本 4本 6本 4本
ホオノキ 10本 3本 3本 4本
キリ 5本 1本 2本 2本
カツラ 9本 3本 3本 3本
コナラ 5本 1本 2本 2本
サクラ 8本 3本 3本 2本
トチノキ 6本 2本 2本 2本
タブノキ 3本 1本 1本 1本
合計 60本 18本 22本 20本
(写真)シイタケ、駒打ち作業①、駒打ち作業②、駒打ち道具、種駒、キリの榾木、ヒラタケ、ナメコ、シイタケ、アブラチャン


「ヤマネの巣箱撤去」
2015年の9月に取り付けたヤマネの巣箱も3年半が経ちました。名栗げんきプラザでは営巣を確認しているので、山続きのときがわでもヤマネが住んでいるかもしれないと巣箱を11個取り付けましたが、なかなか入ってはくれませんでした。取り付けた樹木に針金が食い込み始めているので、ここで一旦撤去することにしました。その中の一つには、枯葉がたくさん運び込まれていました。枯葉をより分けると、小さなネズミの糞がたくさん出てきました。種類はわかりませんが、自動カメラには映らない哺乳類がいることは確かですね。
(写真)巣箱の中、ネズミの糞


「早春の花たち」タチツボスミレ、ハナネコノメ、ユリワサビ