埼玉森林インストラクター会Forest Instructor Saitama

コラム

森の恵みに感謝!2
春を味わう
text by 大澤 太郎

それは、「ねえ、つくしんぼ探しに行こうよ」と当時2才半の息子の一言から始まりました。2005年4月2日の土曜日、親子3人でさいたま市郊外の荒川の土手にツクシを探しに探検に出かけました。
土手の斜面をよく見ながら登ると、「つくしんぼ、あったよ」と、早速ツクシを発見しました。すると、土手には芽吹いたばかりのヨモギの若葉もたくさん生えていました。そこで、「今夜は春の野草を食べよう!」ということになり、ツクシとヨモギを採り始めました。
しばらくすると息子は土手をおしりで滑る遊びに夢中になり、つくしんぼどころではなくなりました。親はというと、父はツクシを、母はヨモギを、せっせとつみ採りました。
ひとしきり土手を満喫した後、土手の下に降りました。するとそこに、もう1つの春の野草を発見しました。それは、ノビルです。子供の頃よく食べた懐かしい野草です。ツクシ、ヨモギ、ノビルとも、一晩で食べられる適量を採取して家路につきました。
家に帰って昼寝をした後、春の野草の調理にとりかかりました。
~本日のメニュー~
1.ノビルと味噌 ノビルは水でよく洗い、ひげ根を取り除いて皿に盛り、味噌を添えて出来上がりです。
2.ツクシの佃煮 ツクシは「はかま」をとってお湯で茎がやわらかくなるまで煮ます。 長さを切りそろえ、しょう油とみりんを加えて煮詰め、佃煮の出来上がりです。
3.ヨモギ団子 ヨモギは土を落とし、重曹を加えたお湯でさっとゆで、ミキサーで砕きます。 団子のもと(上新粉)に水とヨモギを加えてよく練り、団子状に丸めます。 熱湯に丸めた団子を入れて、浮き上がったら、ヨモギ団子の出来上がりです。

「いただきまーす」。採取した野草の量がちょっと少なかったのか、出来上がった料理も上品な量になりました。味もとても上品でした。野草料理は量を食べるのではなく、野の趣・季節の旬を味わうことができる程度が適量だと思います。 ということは、採取する野草は必要最小限にとどめ、根っこごと掘り採らない、群落すべてを絶やさないなど、注意したいものです。
外で春を感じ、家で春を味わった、春づくしの1日でした。

「つくしんぼ、あったよ!」
ノビル
ヨモギ
完成!(上・ノビルと味噌、右下・ツクシの佃煮、左下・ヨモギ団子)