埼玉森林インストラクター会Forest Instructor Saitama

コラム

2004年6月14日  十文字峠
奥秩父発信
原生の森に咲くアズマシャックナゲ
text by 木口明浩

奥山の静けさの中に咲く可憐な花に逢いたい
奥山の静けさの中に咲く可憐な花に逢いたい!と思い立ったのは、本格的な盛夏を迎える一歩手前でした。
さっそく、天気図を睨むと高気圧が張り出して梅雨の中休みがやってくることが判明。
時季的にはちょっと遅いタイミングでしたので、これ以上待ったなしの平日山行となりました。
誰もいない山を登り始めて約2時間、標高2000Mにある小屋の管理人さんに尋ねるとやはり開花のピークを過ぎてしまったとのことでした。
それでも「大山まで行けばまだ咲いているかも・・・。」との言葉に希望をつなぎ、我々は修験者のように黙々と急坂を登り続けました。するとどうでしょう。突然、緑の中に鮮やかな桃色が飛び込んできました!アズマシャクナゲです。さらに山頂近くまで進むと「千と千尋の神隠し」のワンシーンを髣髴とさせるシャクナゲのアーチが迎えてくれました。絶好の天気の中、青い空に新緑が映え、満喫できました。 山頂から遠く東南の方向を見やりながら「今頃、東京はお勤め人が仕事の真最中ですよ。」「まったくですね、こんなに穏やかな日に・・・。」などと話しているとなんともいえない勝ち誇った感覚が湧き出してきて、笑みがこぼれてしまいました。健康と平和に感謝せずにいられない1日となりました。

アズマシャクナゲ…ツツジ科ツツジ属 標高800~2000mの明るい林内や林縁、尾根などに生える。根は細く地表近くに張るので乾燥に弱いが冬季に積雪に耐える。葉はホンシャクナゲより小さい。

梅雨の合間の絶好の天気。


【観察できた生き物】