埼玉森林インストラクター会
2013年5月12日

埼玉森林インストラクター会研修会

山菜研修
報告・青柳 徹

 綺麗な新緑の景色に見とれていると暫くして車は山の中に入る。特に看板も何も無い場所に停車したので、 初めての私は一瞬戸惑うが、先発隊の方が荷物運びを手伝う為に待機しているのを見て、此処が「埼玉インストラクターの森」なのだと気付く。

 当日は、会員11名の参加があり、9時にせせらぎホール駐車場に集合し、9時半に現地に移動しました。山菜図鑑があっちこっちで広げられているところを見ると、会員それぞれにかなり意気込んでいるようでした。30分ほど思い思いに山菜採りに熱中し、そこそこの収穫があったところで切り上げて、上流の広い河原に移動して第2ステージが始まりました。

 4月29日 参加者15名。麓のせせらぎホール駐車場に9:00集合。 そこから数台の乗用車へ分乗して研修場所の「埼玉森林インストラクターの森」に着いた。  「埼玉森林インストラクターの森」は、地主様より長期間借用している研修等に使用している場所で、 近くの荻が丘小学校の児童達に植林体験をしてもらう事業等も行っているとの事。
 先発隊の方々が既に準備を整えており、全員の簡単な自己紹介を終えると、早速山菜や野草等を採取しに行く。
 私は、ある程度は机上で予習をしたものの、そんなものがフィールドで役立つ筈も無く、ドクダミとモミジガサぐらいしか判らなかった。 あとは柔らかそうなものを採取し、同定してもらう事とした。
 30分間程で再度集合し参加者が採取した多種多様な植物の同定を行う。 一つ一つの種を同定するのであるが、薀蓄や経験談などの話も出て、約47種の同定に2時間以上かかったような気がする。 例えば山登りでも個々の草木に引っかかり100m進むのに30分くらいかかる事のある研究者の気質を感じる。

 諸先輩方が作ったテーブルに天麩羅用とおひたし用、食べない種に整理して並べた時は既に12時を回っていた。 天麩羅班とおひたし班に分かれて調理開始。この日はカタクリの差し入れがあり、カタクリもおひたしにする。 ワサビは、サッと茹でた後、タッパに入れて振っていた。通常は揉むとの事だが、密閉する事により辛味が出る。 人が求めるワサビの香味は、ワサビにとっては、揉まれたり密閉される事に対する防衛手段。つまり悲鳴なのであるが・・・。
 さすがにベテランの先輩方、手際も良く、程なくテーブルに料理が並ぶ。ノンアルコールビールの差し入れもあり、全員で乾杯して試食する。
 カタクリは知識ばかりで、実際に食べたのは初めてだった。関東では貴重な植物であり、ここまで育つのに7-8年かかる。 7-8年間の光合成によって蓄えられた栄養を食べると思うと、なんだか元気になれる気がする。ワサビも特有の香りと味で、とても美味しい。天麩羅にした種については、微妙な味の差異はあるものの、野草の自己主張はあまり無いように感じた。みなサクサクで天麩羅を揚げた方の腕のお陰であろう。 おひたしは、全体的には苦味と酸味が主な基本味。辛味も添えられ、まるで人生の如し。

 この後、モミジガサ、ユキノシタ、ハルジョオンを天麩羅蕎麦用に追加採取する。 1-2年前に植菌していた椎茸も直径10cm以上に大きく育っており、これも採取して出汁としたり天麩羅に揚げて山菜天麩羅蕎麦が完成。 薬味にサンショウやミツバを刻んで入れたが、とても美味しい。今後、蕎麦を食べる時は普段からサンショウを入れようかと思った。
 最初は皆さん、黙々と食べていたが、食べ終わる頃になると雑談が始まる。 新米会員の私にとって、博覧彊記な先輩方の雑談は貴重な情報源で、大変勉強になった。
 15時頃には雨が降るかもしれないとの事で、デッキ作りと後片付けを急ぎ、来た時と同じ様に乗用車に分乗して麓へ向かった。
 中毒事故の危険もある山菜取りではある。しっかりと同定出来る目を養い、勉強して行きたいと思う。 採取している時「まずは、食べてはいけない物をしっかり学びなさい。」と何気ないアドバイスを頂き、学ぶ糸口を得た。 また折角の今回の研修を一暴十寒とせぬ様、まずは復習を・・・と書いて、ふっと気付いたのだが、このレポートを命じられたのも、そういう意味だったのかもしれない。 あらためて、有難う御座いました。


種名
科名
特徴
調理方法
部位
個人的感想
モミジガサ
キク
長い葉柄を持ち茎を抱かない。葉はもみじ状に裂け表面は無毛、裏面に絹毛。高さ60-80cm
おひたし
茎・葉
芽出しの頃の葉は山菜とされるが、今回は生育した物を食べた。青臭さが僅かに残るが苦味は少ない。
コバギボウシ
キジカクシ
葉は根生葉で披針形、葉柄が付く。オオバギボウシより小さい。有毒のバイケイソウ(ユリ科)と似るので注意
おひたし
シャキシャキ感が酢味噌と合う。
ヤブレガサ
キク
長い葉柄を持ち茎を抱く。葉は裂片に掌状深裂し、縁に不揃いな鋸歯
おひたし
茎・葉
山菜としては芽出しの頃。今回は生育した物を食べた。苦味とサッパリ感
ワサビ
アブラナ
強い刺激性の香味
おひたし
葉もワサビの香味。
ウシハコベ
ナデシコ
ハコベより大型。葉は対生。上部は葉柄が無く、下部にはある。
おひたし
茎・葉
ハコベは春の七草。ウシハコベはそれに入らない。口に入れたとき苦味があるがすぐに消えた。
シロヨメナ
キク
ヨメナに似ていて花が白い。葉先が尖りすべすべしている。葉の基部は茎を抱かない。
おひたし
苦味とサッパリ感
ミヤマハコベ
ナデシコ
葉は対生。茎に二列の毛
おひたし
苦味は少ない
サンショウ
ミカン
葉は互生。奇数羽状複葉、小葉は楕円で鋸歯状
薬味
葉も充分薬味になる。
ミツバ
セリ
葉は互生。先が尖る重鋸歯のある卵形。3枚複葉
薬味
サッパリ感
モミジガサ
キク
長い葉柄を持ち茎を抱かない。葉はもみじ状に裂け表面は無毛、裏面に絹毛。高さ60-80cm
天麩羅
茎・葉
おひたしでも食べたが、天麩羅にして蕎麦にのせた。自己主張は少なく春菊天の様な味わい。
ウバユリ
ユリ
輪生状に卵状心形の葉をつける。葉柄は長く基部が太い。茎は中空で無毛。
天麩羅
茎・葉
春菊天の様な味わい。
フジ
マメ
ノダフジは右巻き、ヤマフジは左巻き。採取した葉だけでは同定困難
天麩羅
サッパリ感のある食感。
ハルジオン
キク
ヒメジョオンと良く似るが、ハルジオンの茎は中空
天麩羅
茎・葉
春菊そのものの様。薬効もあるらしい。
アオカラムシ
イラクサ
互生する葉の縁に細かい鋸歯、細かいシワがあり、艶がない。葉の裏が白くない緑の物をアオカラムシという。
天麩羅
シソの天麩羅の様。
ドクダミ
ドクダミ
強い臭気とハート形の葉。十薬の生薬名の通り、薬効が有名
天麩羅
茎・葉
天麩羅にすると臭気は和らぎ、若干香りが残る程度。
イタドリ
タデ
茎は中空。三角状の葉を互生する。
天麩羅
サッパリとした酸味がある。
カキオドシ
シソ
長い葉柄をもち、睡蓮の様な円形状、シワがあり柔らかい
天麩羅
風味の少ないシソといった食感。
コアジサイ
ユキノシタ(アジサイ)
葉は葉柄をもち、対生する。装飾花がなく両性花のみ。
天麩羅
爽やかな食感
コクサギ
ミカン
葉序が独特。左右に2対づつ互生する様に見える。実際は螺旋状に付き、左右に向かう。
天麩羅
天麩羅にすると個性的な風味はあまり感じない。
イタヤカエデ
カエデ
葉は対生し、7,9裂で全縁。長い葉柄をもつ
天麩羅
爽やかな風味

※採取した植物

種名
科名
特徴
コメント
ジャニンジン
アブラナ
葉は互生し奇数羽状複葉。小葉は鋸歯を持ち、葉柄基部に耳片を持つ
食べられるかどうかは未確認。蛇が食べる人参が名の由来ではあるが、蛇が食べるかも不明。
ニワウルシ
ニガキ
葉は羽状複葉を互生する。小葉の基部に花外蜜腺がある。
シンジュサン(蚕)の食樹であるが、人が食べられるかどうかは未確認。
ムラサキケマン
ケシ
葉は2-3回3出複葉。先端が丸く丸い鋸歯。薄く柔らかくて艶がない。
全草にプロトピンを含み有毒。嘔吐・呼吸麻痺・心臓麻痺を引起す。山菜のシャクに葉が似ているので注意
ミヤマキケマン
ケシ
葉は1-2回羽状複葉。小葉はさらに深裂。
有毒植物
タチタネツケバナ
アブラナ
羽状複葉。葉は薄く細い。オオバタネツケバナは葉に肉厚感があり、小葉が大きい。
ナズナと間違えられ易いが、毒は無く実害はないらしい。
オニタビラコ
キク
葉はロゼット状に付く。羽状複葉で先端の小葉が丸い。
ホトケノザ(コオニタビラコ)と間違われることがあるが、実害は無い。
アケビ
アケビ
葉は互生し楕円の小葉の掌状複葉。
果実や新芽は山菜料理として親しまれている。蔓、葉、根、果実は薬草としての効果もある。
ナツツバキ
ツバキ
葉は互生。倒卵形-楕円形。縁は小さな鋸歯。表面は無毛、裏面絹毛。
食べられるかどうかは未確認
フジウツギ
フジウツギ
葉は対生。裏面に淡緑色星状毛散生。葉柄基部に托葉状の付属体
枝葉は有毒。砕いて水の中に入れると魚が浮く事から「酔魚草」とも言う。
アブラチャン
クスノキ
葉は互生。薄く全縁で先が尖る。葉柄は赤みを帯びる
種子から油を採るが、食用ではなく、灯明用等に使用。葉などの食用は未確認。
キツネノボタン
キンポウゲ
別名;コンペイトウグサ。根生葉は葉柄が長く、3出複葉で小葉に切れ込みがある。茎生葉は上の方が葉柄が短く、互生する。
有毒植物。食べると口腔炎や消化器の炎症を起こす。茎葉の汁は皮膚につくとカブレを起こす。セリと誤認した事故事例アリ。
ゼンマイ
ゼンマイ
新芽は渦巻状で綿毛に覆われるが成長すると毛は無くなる。葉は2回羽状複葉
食用となるが、灰汁抜きや天日干しなど、下処理が必要。
ヤブデマリ
スイカズラ
葉は対生し10cm程の楕円形。先端は尖り全縁。
同じ属のガマズミの実は果実酒として利用されるが、ガマズミの実は食用には適さない。葉の食用は未確認。
ヤマボウシ
ミズキ
葉は対生し卵円形で全縁。葉裏に毛があり、ハナミズキと区別できる。
果実は甘く美味しいが、葉は未確認。
ツルニンジン
キキョウ
根が高麗人参に似ることからこの名がついた。釣鐘状の花冠が特徴的。
朝鮮ではトドックと呼ばれる山菜で根や若芽を食べる。
ウワミズザクラ
バラ
葉は楕円形で先が細り鋸歯がある。白い総状花序が特徴
若い花穂と未熟な実を塩漬けにした杏仁子が食用とされる。熟した黒い実は果実酒に使われる。
クサイチゴ
バラ
背丈が低く草本のようだが、実は木本。葉は奇数羽状複葉で、3小葉と5小葉。茎に棘がある。
果実は食用となるが、葉は未確認。
マムシグサ
サトイモ
雌雄異株。雄株の苞は下に穴があるが、雌株の苞には穴がなく、ハエを閉じ込める。雄株でハエに充分花粉をつけ、雌株で最後まで受粉する為。
全草に毒性あり。特に球根の毒性が強い。その汁に触れると炎症を起こし、食すと口から喉に激痛。下痢、嘔吐、心臓麻痺といった症状が現れ、死亡する危険もある。
ミズヒキ
タデ
葉は広い楕円形で先端が尖る。 時季により鼻緒の様な模様がでる。
全草を乾燥させた物は竜牙草と呼ばれる漢方薬。若芽や若葉は食べられる。
ガクウツギ
ユキノシタ
葉は対生。楕円状で葉先が尾状に尖る。表面は光沢がある。
食べられるかは未確認。
マツカゼソウ
ミカン
3回3出羽状複葉で、小葉の大きさは不揃い。葉先は丸く、基部はくさび形
食べられるかは未確認。
メグスリノキ
ムクロジ
雌雄異株。葉は複葉。和名は樹皮を煎じた汁を目薬として使用したことに由来。
乾燥させた枝葉を煎じて飲むと薬効があるとの事。
アカネ
アカネ
蔓性。茎は四角く細かい逆棘。葉は葉柄が長く先端が尖る。托葉と偽輪生するが、実際は対生。
染料として利用するが、食べられるかどうかは未確認。
タケニグサ
ケシ
キクの葉の様な切れ込みがあり、葉裏は白っぽい。
有毒。皮膚病や虫刺されに使われた事もあるが、かえってかぶれる事もあり危険。
キバナアキギリ
シソ
茎は四角。葉の葉柄が長く、葉の基部が横に広がる。
食べられるかは未確認。
コチャルメルソウ
ユキノシタ
葉は根生し、葉柄は長い。葉縁は浅く裂けて不揃いの鋸歯
食べた人によると、美味くもなく不味くもなく、特に特徴は無いとの事。

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