埼玉森林インストラクター会
2005年5月21日

第56回埼玉県植樹祭
森林ハイキング


都幾川の原点・慈光寺を訪ねて
報告・秋山進

 埼玉県で最も古いお寺「慈光寺」。鎌倉時代に幕府の令により、はるばる伊豆から慈光寺造営のためにやってきた「番匠」と呼ばれる木工技術者たちは、やがて、この地に定住して高度な建具技術を伝承してきたといわれています。第56回埼玉県植樹祭「みんなで森をつくる集い」は、その県内一の建具の生産を誇る「木のむら」・埼玉県比企都幾川村で開催されました。

 当日は記念植樹や森の手入れ、木工教室のほか地元物産品の販売など、たくさんの催しが行なわれ、一種お祭りのような盛り上がりを見せていました。私達森林インストラクターはその中で、森林ハイキングと森の学校を担当。

 森林ハイキングのコースはメイン会場の萩が丘小学校から慈光寺を訪れ建具会館へともどるおよそ2時間半の道のりです。
 午前11時。10名の参加者と共にすこし遅めのスタート。

女人堂跡地で説明を聞く。

 この都幾川村、建具の生産が盛んなだけあり、村の8割がスギやヒノキの人工林です。同行してくれた都幾川村役場の方が「植えられるところは、全部植えたという感じです」とおっしゃる通り、コース沿いもほぼスギ、ヒノキ。華やかさはありませんが、人工林を知るにはちょうどよいコースといえます。スギとヒノキの見分け方や、道端の木々や草花の話を交えながら歩くこと20分。舗装路から山道に入ってまもなく、この時期本コース中で、最も目立つ花「シャガ」が数多く見られるようになります。そのすぐ先に広がる広場が「女人堂」の跡地です。慈光寺は元は女人禁制のお寺。女性たちはこの女人堂でおまいりをして、女人道を通って、本堂をさけて釈迦堂へ登ったそうです。「最盛期にはこの山一体に75もの坊があったといわれています」と村役場の方。いまではその面影は殆ど見受けられません。ただただイロハモミジの大木が印象的な女人堂跡地です。

葉に文字を刻んだことから「葉書」
の語源になったタラヨウ。

 女人堂の跡地を少し登ると、板碑が立ち並んぶ広場に出ます。板碑の裏にはタブノキ。そこから再び女人道へ。暗いスギの植林地を抜け、しばらく歩くと、慈光寺につきます。慈光寺の本堂前には樹木医による手がほどこされた県指定の天然記念物、タラヨウがあります。肉厚の葉に傷をつけて文字を書き手紙にしたことから葉書の語源ともなった樹木です。

 ここまでスタートから1時間と少し。ここで昼食を兼ねてしばし休憩。

 午後は、観音堂への108段の急階段をわき目に、霊山院まで車道歩きです。霊山院からは、お墓の脇を抜けて尾根上の道を下りました。この道もところどころにコナラやモミなどが混じっていますが、基本的にはスギ、ヒノキの植林地。ただ、比較的明るく、足元も広葉樹の落ち葉で覆われていますから歩きづらい道ではありません。その道を約30分ほど歩くとゴールの建具会館です。到着は13時50分。ゴール直前のドングリ山には今日の植樹祭で植えられたばかりのヤマツツジがなんとなく頼りなげに佇んでいました。

 さて、今回のコース、基本的に車道が多く、見られる樹種もスギ・ヒノキが中心で自然を満喫するには少し物足りなく感じるかもしれません。そんななかで、目を引くのはシャガ。特に慈光寺周辺に群生していますので、5月上旬から末にかけて開花の時期に合わせて訪れるのがいいでしょう。また、女人堂跡や慈光寺本堂下の釈迦堂跡付近にあるイロハモミジは枝ぶりも良く、紅葉の時期が楽しみです。しかしなんといっても、このコースの主役は慈光寺です。開山1300年、国宝や多くの重要文化財が所蔵されているかつての大寺院は、ここ都幾川村を知る上でもはずせない場所と言えます。

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